日本の仮想通貨保有率と今後の展望

2025年2月9日

日本の仮想通貨保有率と今後の展望

導入：日本における仮想通貨の現状

仮想通貨は近年、世界中で急速に普及し、多くの個人投資家や企業が注目する資産クラスの一つとなっています。しかし、その普及率は国ごとに異なり、日本ではまだ一般的な投資手段として広く受け入れられているとは言い難い状況です。

世界全体で仮想通貨を保有している人の割合は約5%と推定されており、日本においては総人口の約4%、約500万人が仮想通貨を保有しているとされています。また、MMD研究所の調査によると、20歳から69歳の日本人のうち、仮想通貨取引所を利用したことがある人の割合は10.8%に達しているとのことです。

このデータから、日本の仮想通貨保有率は世界平均と比較してやや低いものの、一定の普及が進んでいることがわかります。では、なぜ日本における仮想通貨の普及率は世界平均を下回るのでしょうか？また、今後の成長の可能性はどのように考えられるのでしょうか？

日本における仮想通貨普及率が低い理由

1. 過去のハッキング事件による不信感

日本では、2014年に発生した「マウントゴックス事件」や2018年の「コインチェック事件」など、大規模な仮想通貨流出事件が報じられ、多くの人々が仮想通貨の安全性に対して不安を抱くようになりました。特に、日本の金融機関は長年にわたって強固なセキュリティ対策を施してきたため、こうした事件は投資家にとって大きな心理的障壁となっています。

2. 規制の厳しさと取引のハードル

日本は仮想通貨に関する法規制が厳しく、金融庁は取引所に対して厳格な審査を実施しています。これは投資家を保護するための措置ですが、一方で新規参入者にとっては口座開設や取引のハードルが高くなり、普及が進みにくい要因となっています。

3. 日本人の投資意識の違い

日本は貯蓄志向が強く、特に高齢者層の間では株式投資やFXなどのリスク資産への投資が一般的ではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、短期間での暴騰・暴落が頻繁に発生するため、多くの日本人にとっては「リスクが高すぎる」と感じられるのかもしれません。

4. 決済手段としての利用が進んでいない

仮想通貨の本来の目的の一つは「決済手段」としての利用ですが、日本では仮想通貨決済を導入している店舗が限られています。特に、クレジットカードや電子マネーが普及している日本では、仮想通貨を決済手段として利用するメリットがあまり感じられていないのが現状です。

今後の仮想通貨普及の可能性

1. NFTやメタバースの発展による影響

NFT（非代替性トークン）やメタバースの成長に伴い、仮想通貨の活用範囲が拡大しています。特にデジタルアートやゲーム業界では、仮想通貨を用いた取引が一般的になりつつあり、これが若年層の間で仮想通貨の認知度を高める要因となっています。

2. 大手企業や金融機関の参入

国内外の大手企業や金融機関が仮想通貨市場に参入することで、信頼性が向上し、より多くの投資家が市場に参入する可能性があります。たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループやSBIホールディングスなどの企業は、仮想通貨関連の事業を展開しており、今後の市場成長が期待されています。

3. 法規制の整備とセキュリティの向上

日本の金融庁は、仮想通貨市場の健全な発展を目指して規制の整備を進めています。今後、取引所のセキュリティが強化され、投資家の保護が徹底されることで、より多くの人が仮想通貨を安心して取引できる環境が整うでしょう。

4. ステーブルコインやCBDC（中央銀行デジタル通貨）の影響

価格変動が少ないステーブルコインや、政府が発行するデジタル通貨（CBDC）が普及すれば、仮想通貨に対する信頼性が向上し、日本国内でもより多くの人々が仮想通貨を利用する可能性があります。日本銀行も「デジタル円」の研究を進めており、これが実用化されれば、仮想通貨市場全体の活性化につながるかもしれません。